「肖像」&「人間図鑑」 内倉 真一郎 showcase-VOICE-
「肖像」&「人間図鑑」
photo by 内倉 真一郎
ポートレイトはその人の個性や、
人となりを引き出すように撮る、
などという事がありますが、
この作品の撮影意図はまったく逆です。
様々な人・職種また、その人の人間性を写す事が目的ではなく、
もくろみは撮影する私が被写体を支配する事。
ヒューマン・ピクトリアル・ブック、
私が創り出した「人間図鑑」
作品のなかで被写体の貴方は私自身のレプリカとなる。
ART iT 写真評論家清水穣氏連載批評のフィールドワーク
:日本現代美術観測より抜粋
内倉真一郎(1981-)は
2010年度(清水穣選)、11年度(大森克己選)、13年度(椹木野衣選)
キヤノン写真新世紀佳作。
選び抜いた被写体のアイデンティティの上に、
徹底的に自分の美意識(妄想と言っても良い)を上書きして
演出した大判の肖像写真群は、
逆説的に途方もなくストレートである。
完璧な演出写真は、どこかB級の、
ちょっとヤクザな典型たちを作り出している
(内倉組若頭、誕生日に仮装したお嬢、組長、内倉金融外回り営業、
お嬢の入学式;元過激派の高校美術教師、中国人成金の子供、
演歌歌手、私これで会社辞めました、
ママに女装させられた小学一年のボク……等々)。
セクシーでもあり滑稽でもある典型の毒によって、
アイデンティティという毒を制するのだ。
毒が毒を解毒することで、逆説的にも、ただの素人たちが残る。
どこにでもいる他者たちが、
アイデンティティをきれいに取り除かれて、
裸の同等性において立ち現れるのである。
CITY RAT pressより評論
ここにある肖像写真を眺める時、
あたかもその様から認識できる
人物であるとほとんど確信的に理解するのだが、
しかしそれはポートレイトの本質に挑む
内倉の仕掛ける虚構的手法によって造られた
世界に迷い込んだ事の証左に他ならない。
ここに写し出された被写体たちは、
ピタリと隙間なくはまるパズルピースのように
異様なほど「らしさ」を纏っている。
しかしこれが内倉の創り出したイメージ「虚構像」だと知るとき、
反転、我々の見る事の不安定さがそのまま露呈することになる。
そしてまたその情報の信用性が失われる瞬間こそ、
グロテスクなほど剥き出しの人間が出現するのである。
数々の受賞歴を持つ若手写真家 内倉真一郎の初写真集。
「肖像」&「人間図鑑」掲載作品受賞&展示歴
「肖像」
■第33回 キャノン主催 写真新世紀佳作受賞(清水 穣 選)2010年
■彫刻家、写真家、イラストレーター、 画家、4名による
宮崎県立美術館特別企画展「四つの風」出展 2010年
■PHOTOGRAPHY MAGAZINE 81LAB.5周年記念写真展
大阪ギャラリー・アセンス美術出展 2011年
■写真評論家 清水穣企画展 「showcase #3 日本の肖像 Japanese Portraits ― 」
石川竜一、内倉真一郎、原田要介 京 都eN artsギャラリー出展 2014年
■「A human Pictorial book」CITY RAT pressより出版 2014年
「人間図鑑」
■第34回 キャノン主催 写真新世紀佳作受賞(大森 克己 選)2011年
■清里フォトアートミュージアム パーマネント・コレクション 2012年
■PHOTOGRAPHY MAGAZINE 81LAB.6周年記念写真展
大阪ギャラリー・アセンス美術 出展 2012年
■写真評論家 清水穣企画展 「showcase #3 日本の肖像 Japanese Portraits ― 」
石川竜一、内倉真一郎、原田要介 京都eN artsギャラリー出展 2014年
■「A human Pictorial book」CITY RAT pressより出版 2014年
内倉 真一郎
宮崎県延岡市出身 33歳
■日本写真映像専門学校 非常勤講師
■公益社団法人日本写真協会 会員
日本写真映像専門学校研究課卒業「卒業制作 学校長賞」 2003年
EH株式会社 アートプラザスタジオ勤務 2003年 2005年
その後東京にて作家活動
現在宮崎県延岡市(有)内倉写真館にて勤務しながら作家活動。
HP:http://uchikurashinichiro.web.fc2.com/
○今後の活動予定
今年(2015年)の10月に京都のgalleryMainで個展を開催予定。
○受賞歴
■第36回 キヤノン主催 写真新世紀佳作受賞(椹木 野衣 選) 2013年
■第34回 キヤノン主催 写真新世紀佳作受賞(大森 克己 選) 2011年
■第33回 キヤノン主催 写真新世紀佳作受賞(清水 穣 選) 2010年
■Nikon Juna 21受賞 2008年
■APAアワード 入賞 2005年
■平間至賞 ハミングバード賞 2005年
■APAアワード 入賞 2004年
○美術館コレクション
■清里 フォトアートミュージアム
ヤングポートフォリオ作品 永久コレクション 2002年 2003年 2008年 2012年
○個展
■「ParaSite」NikonJuna21出展
新宿Nikonサロン大阪 Nikonサロンにて個展 2008年
○グループ展&企画展
■81LAB.の現在 × CITY RAT press出版記念展 参加
大阪ギャラリー・アセンス美術 2014年
■清里フォトアートミュージアム開館20周年記念 原点を、永遠に。
東京都写真美術館にて作品展示 2014年
■写真評論家 清水穣企画展
「showcase #3 日本の肖像 Japanese Portraits ― 石 川竜一、内倉真一郎、原田要介」
京都eN artsギャラリーにて開催。2014年
■PHOTOGRAPHY MAGAZINE 81LAB.6周年記念写真展
大阪ギャラリー・アセンス美術 参加 2012年
■PHOTOGRAPHY MAGAZINE 81LAB.5周年記念写真展
大阪ギャラリー・アセンス美術 参加 2011年
■彫刻家、写真家、イラストレーター、 画家、4名による
宮崎県立美術館特別企画展「四つの風」参加 2010年
■81LAB.GALLERY オープニング企画展 参加 2008年
■表参道画廊 「六本木心中展」参加 2008年
■全国富士フォトサロンAPA正会員企画展「新鋭展」 2005年
■富士フォトサロン企画展「写真家達のチャリティー展」 2006年
○出版
■「A human Pictorial book」CITY RAT pressより出版 2014年
○作品掲載
■PhotoGRAPHICA[フォトグラフィカ] vol.10 vol.11 作品掲載
■「PHOTOGRAPHY MAGAZINE 81LAB.季刊誌」 作品連載中
■写真文化「写真作家 シリーズ」掲載 5月号 7月号 作品掲載
■APA特別号 社団法人日本広告写真家協会 作品掲載
■人形作家 堀桂子 写真集「Dolls」カンゼン社